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「初恋料理教室」藤野恵美著

連作短編集です
今日は早朝から雨、次第に雪に変わり悪化の一途をたどっています。こんな日は早々にあきらめます。

4短編(初恋料理教室、であいもん、ふたりの台所、日常茶飯)+1掌編(終章)の連作短編集です。
2014年の作品。本屋大賞2015でランキング外の作品です。初めて読む作家です。

京都の町屋で料理教室が開かれています。土曜日は初心者の男性限定です。
4名いるのでそれぞれを主人公にした作品です。
表題作「初恋料理教室」は建築事務所勤務・馬渕の初恋の話が料理完成後の食事中に語られます。
「であいもん」はパティシエのヴィンセントがやはり町屋を改装して店を開店するまでの話です。
「ふたりの台所」は大学生ミキと姉のジュリアが父の一周忌で里帰りする話です。
「日常茶飯」は錫職人の佐伯が妻の入院騒ぎで夫婦仲を改めて考える話です。
「終章」は料理教室の愛子先生の料理教室を開くに至った経緯が語られます。

こう簡単にアウトラインを書いてしまうと読まなくてもいいやと思う方もいるかも知れませんが、
それは私の紹介がいまいちということなのですみません。

私が好きなのは「であいもん」ですが、大家さんの吉川さんに開店前に菓子を振る舞う話で、
すねている吉川さんの心が少しずつほぐれていく過程にぐっと来ました。
「日常茶飯」は50代の夫婦の話ですが、その年も過ぎているので
いつ何時こんな状況になるか身につまされました。
「ふたりの台所」は姉弟が力を合わせて生きて いずれそれぞれが普通の家庭を作っていくでしょう。
普通がしあわせの目標です。

兎に角読み終わると料理を習いたい、生湯葉を食べたい になります。
こんな料理教室はないモンだろうか。

「給食のおにいさん」遠藤彩見著

2013年発行の小説です
今日は天気不良と買い物助手のためお出かけはありません。久しぶりに本の紹介です。
「給食のおにいさん」 遠藤彩見
この作者は初めて読みます。きっかけは本屋大賞2015版の最後のパート発掘本で知りました。
たった一人の書店員の紹介でしたが図書館で4月に申し込みようやく借りられました。
今回の本屋大賞はベストテンも面白そうなのですが少人数の押し本に良いものが見つかります。

連作中編集といった構成です。4編で春夏秋冬になっています。
主人公の佐々目は料理コンクールで優勝したり、フランスへ修行に行ったりとキャリアは十分ですが
その分料理に対するこだわりが強過ぎるため、一流レストランでその腕を買われながらも長続きせず職場を転々としています。
心機一転自分の店を出しますが、予算不足の手抜き工事にあい漏電による火事で店を焼いてしまいます。
行くところが無くたまたま募集してた東京都S区の小学校に給食調理員として雇用されます。

独身で身近に子どもがいなく小学生の扱い方がわからないまま出勤します。
そこには給食に以上にこだわりのある上司・管理栄養士の毛利と、
一癖もふた癖もある給食のおばちゃんトリオが待ち受けています。

とここまで書くとコミックみたいですが、私も表紙を見てちょっとやっちゃったかと思いましたが、
読んでみるとなんのなんの、最初出会った小学一年生の保健室登校の話とか、
毎日のように夕方給食の残りをもらいに来る陽(はる)くんとか、残菜率とか、元子役の児童とか、
モンスターピアレントの娘とかが絡む問題が次々と起こり、調理人としてのプライドも傷つけられますが、
ちゃんと折り合いを付けてより高位な結果を出して行くストーリーに不覚にもあちこちでぐっときました。
子どもたちと一緒に成長して行く佐々目が見られる話です。まわりの先生方との関係も悪くありません。

この小説は子どもをきちんと大人と同じ一個の人格として書いているから軽くならないように思いました。
このシリーズは図書館ではあと2作あるので早速予約を入れたところです。
市販ではもう1作あるようですがこれも楽しみです。

本の紹介は久しぶりですが読んでなかったわけではなく実は今年はこの本で51冊目です。
再読が多くなっているので30年以上も前の本の感想を書いてもしょうがないので比較的新しい本の時紹介を書いています。

『蠅の帝国』『螢の航跡』箒木蓬生著

二冊の本を紹介します
『蠅の帝国』箒木蓬生著新潮社 文庫790円 『螢の航跡』箒木蓬生著 新潮社 ハードカバー2000円
あまり考えないで借りたら文庫とハードカバーでした。
どちらも同じく従軍医師(軍医)の手記という体裁に統一されたものです。

軍医は元開業医師や医学校・医学部・医専卒業あるいは早期卒業の医師など様々です。
一般兵隊より出世は早くおおむね下士官から将校と言った身分で従軍し、
各地で直接の戦闘はしないものの兵士の怪我の治療や、伝染病・飢餓との戦いが手記として淡々と綴られています。

その冷静な観察と当時の状況が胸に迫るものがあります。
従軍先もニューギニア、ビルマ(ミャンマー)、中国、満州、朝鮮、樺太、フィリピン、沖縄、本土などです。
太平洋戦争という名前が適切なのか日本という国が大きく太平洋、東アジアで戦争をしていたことが理解できます。

その内容は軍医である私の視点で克明に綴られています。
もちろん細かいところでの思い違いもあるでしょうが、軍医の見た戦争とは何かを伝えてあまりあるものがあります。

戦争と言えば最近の話題は従軍慰安婦問題あたりですが、この本でも出てきますが戦争はそれだけではない、
人が戦闘ではなく病気や栄養失調で死ぬ人の方が多いと言う事実が解ります。
多分戦争を始めた人たちは兵站という意味を理解していなかったのではないか、
インパール作戦やニューギニアの話は複数の軍医がそれぞれ記録していますが信じられない状況だったことが解ります。

そんな中でも全力を尽くし職務を全うした彼らを責めることは出来ないでしょう。
満州・樺太での一般人が巻き込まれて行く状況や、戦争が終わっても帰国がかなわず死んで行く人たち。
捕虜収容所で重労働をする毎日、帰国する日を夢見る日々。等々。

表題作の蠅の帝国の意味は広島の原爆病調査で語られますが、
東京大空襲(の話もあります)とは違った死体が蠅を増やしたと言う意味が分かって愕然としました。

小さい頃聞かされた、あるいは本や雑誌などで聞いたり読んだりした話が、今回改めて確認できたような気がしました。
皆うわさとして聞いたような話は、すべて有った事だったのだということが解りました。

最近はこのような情報が無くなってきている事から、また戦争に荷担して行くような方向性に進まなきゃいいのだがと思います。
この本を読めば関係ないと思っている人が、いともたやすく戦争に巻き込まれて行くのが解ります。
何とかそんな道に進まなければよいのですが。

室蘭の艦砲射撃のはなしと、樺太郵便局の交換手の話もありました。
もっとたくさんの人の手記を箒木蓬生さんの文章で読みたいと思いました。
纏まりのない紹介になりましたが戦争とは何かという疑問が涌いたらまた読みます。

螢の航跡にある作者あとがきから「戦争の実相とは、つまるところ、傷つきながら地を這う将兵と逃げ惑う住民、
そして累々と横たわる屍ではないのだろうか。軍医はその前で立ちすくみ、医療に死力をふりしぼりながら、
ついには将兵や住民と運命を共にしたのだ。」こんな事を何度も繰り返すのは愚か者です。
読み終わって2週間経ちようやく紹介を書いていますが、まだ平静ではいられません。

『未必のマクベス』早瀬耕 著

ちょっといい純愛小説
今年初の本の紹介です。今年読んでいなかったわけではないのですが紹介はしていません。
と言うわけで久しぶりの紹介本です。
『未必のマクベス』早瀬耕著『未必のマクベス』早瀬耕著。早川書房ハードカバー2200円。
寡作家で22年ぶりの新作だそうです。前作は読んでいませんが俄然読みたくなりました。

副題に純愛小説としましたがシェークスピアのマクベス、最先端の暗号化に絡む会社小説、犯罪もの?
などいろいろなものが絡んできて、ジャンルがよくわからないのですが難しいことはありません。
文章も平易で読みやすく分かりやすいものです。
最初のマクベスには抵抗はありますが説明責任は作者にあるので気にしないで読んでいけます。
ハードカバーで500ページもあるので最初は覚悟して掛かりますが問題なく読めるでしょう。

ストーリーは一部上場印刷会社の子会社ジェイ・プロトコル(ICカードなど販売)の営業マンである中井が、
ベトナムで大きな商談をまとめ子会社のジェイ・プロトコル香港に出向になります(一応出世)。
元研究職の伴浩輔(実は高校の同級生)とともに赴任します。

この前後に伏線が張られていて子会社で幽霊会社のHKプロトコルに関係する部分を調べるうちに、
高校の同級生鍋島冬香(天才数学者・暗号研究)が窮地に追い込まれているのが解ります。
この女性は中井が高校生の頃片想いだった(実は両思い)人です。
またこのジェイ・プロトコル香港に出向して生きて戻った人間はいないことも解ります。
この二つを解決するためサラリーマンである主人公は何をしていくのかと言う話です。
場面のほとんどは香港、マカオ、東南アジアで外から見た日本という視点も新鮮でした。

お互いに思う気持ちがあるのに何故かすれ違う二人、それでも相手を思いやる気持ちに嘘偽りがない、
でもべたべたしていないどちらも表面上はさっぱりとしていて、でも命を賭けるほど価値がある思いを持っている。

主人公のさっぱりとした性格で尚かつ出世欲もないため、
一人称でも心が読めなく背後霊か守護霊にでもなって付いていく感じですがこの距離感は悪くはありません。

次の展開が読めなくて読み始めると止めることが出来ません、でもゆっくりと1.5日で読みました。
マクベスをフィーチャーしているのですがこだわりすぎでしょう。ちょっとどうかと思う場面もありました。
未必なのだからもっとストーリーは自由で良かったのではないかと思いました。

本屋大賞ではランキング外で、6.5ポイント、紹介文は一人だけでしたが、その紹介文に惹かれて読んでみました。
すごいと書いてありましたが、確かにすごいといえる本を読みました。こんな本にはなかなか当たらないです。
あと10冊ほど予定しているので良いものがあればご紹介します。

『絢爛たる暗号』織田正吉著

小倉百人一首の謎
『絢爛たる暗号』織田正吉著集英社520円文庫(昭和61年発刊)
誰もが知っている小倉百人一首は、藤原定家の撰歌といわれていますが、
他の誰かが選んだのではないかという疑問が旧来からあるようです。

その理由はあの六歌仙としてつとに有名な藤原定家が選んだ百人の百首にしては、疑問のある歌が紛れ込んでいる。
当然のごとく入っていなくてはならない額田王、山上憶良、大伴旅人、源順などが選ばれていないのは?
また歌人としては無名な人が何人か選ばれているのは何故か?
選ばれていたとしても代表的な歌が選ばれていない、あまりたいしたことのない歌が選ばれている。
たとえば西行や、後鳥羽院など。

この本では藤原定家の作であることを証明した上でこれらの疑問を一つ一つ解いて見せてくれる。
正しいかどうかは私には見当も付きませんが、ミステリーのようにわくわくしながら読めます。

確かに達人・天才が百首を選んだなら、解る人には解るように百首で仕掛けを隠しておくというのはありそうです。
ましてや技巧者の藤原定家なればただ百首を選択するなどあり得ない事でしょう。

子供の頃百人一首カルタでトーナメントに参加したことがあり、すべて馴染みのある和歌ばかりでした。
もちろん北海道なので下の句カルタでしたが。

この本の作者は台本作家で有名な方です。この本の後も何冊か百人一首に関する本があるようです。
Benri-Navi

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