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『未必のマクベス』早瀬耕 著

ちょっといい純愛小説
今年初の本の紹介です。今年読んでいなかったわけではないのですが紹介はしていません。
と言うわけで久しぶりの紹介本です。
『未必のマクベス』早瀬耕著『未必のマクベス』早瀬耕著。早川書房ハードカバー2200円。
寡作家で22年ぶりの新作だそうです。前作は読んでいませんが俄然読みたくなりました。

副題に純愛小説としましたがシェークスピアのマクベス、最先端の暗号化に絡む会社小説、犯罪もの?
などいろいろなものが絡んできて、ジャンルがよくわからないのですが難しいことはありません。
文章も平易で読みやすく分かりやすいものです。
最初のマクベスには抵抗はありますが説明責任は作者にあるので気にしないで読んでいけます。
ハードカバーで500ページもあるので最初は覚悟して掛かりますが問題なく読めるでしょう。

ストーリーは一部上場印刷会社の子会社ジェイ・プロトコル(ICカードなど販売)の営業マンである中井が、
ベトナムで大きな商談をまとめ子会社のジェイ・プロトコル香港に出向になります(一応出世)。
元研究職の伴浩輔(実は高校の同級生)とともに赴任します。

この前後に伏線が張られていて子会社で幽霊会社のHKプロトコルに関係する部分を調べるうちに、
高校の同級生鍋島冬香(天才数学者・暗号研究)が窮地に追い込まれているのが解ります。
この女性は中井が高校生の頃片想いだった(実は両思い)人です。
またこのジェイ・プロトコル香港に出向して生きて戻った人間はいないことも解ります。
この二つを解決するためサラリーマンである主人公は何をしていくのかと言う話です。
場面のほとんどは香港、マカオ、東南アジアで外から見た日本という視点も新鮮でした。

お互いに思う気持ちがあるのに何故かすれ違う二人、それでも相手を思いやる気持ちに嘘偽りがない、
でもべたべたしていないどちらも表面上はさっぱりとしていて、でも命を賭けるほど価値がある思いを持っている。

主人公のさっぱりとした性格で尚かつ出世欲もないため、
一人称でも心が読めなく背後霊か守護霊にでもなって付いていく感じですがこの距離感は悪くはありません。

次の展開が読めなくて読み始めると止めることが出来ません、でもゆっくりと1.5日で読みました。
マクベスをフィーチャーしているのですがこだわりすぎでしょう。ちょっとどうかと思う場面もありました。
未必なのだからもっとストーリーは自由で良かったのではないかと思いました。

本屋大賞ではランキング外で、6.5ポイント、紹介文は一人だけでしたが、その紹介文に惹かれて読んでみました。
すごいと書いてありましたが、確かにすごいといえる本を読みました。こんな本にはなかなか当たらないです。
あと10冊ほど予定しているので良いものがあればご紹介します。
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